何でもいいから爪痕を残したい

主に本や漫画のレビュー、あとは雑記です

【東京タラレバ】最終巻を読んだ感想※ネタバレ注意

移転しました。

ちょっと遅いですが、東京タラレバ娘の最終巻を読んだので感想を語ります。

この作品は、実写ドラマ化もされてけっこう話題になりましたね。

 

f:id:inugami09:20170813202559j:plain

※1巻の表紙

 

どういう話かっていうと、一言でいえば「結婚できずに迷走するイタいアラサー女を描いた作品」といえばいいでしょうか・・・。

 

物語は、高校から同級生である3人のアラサー女(33歳)に焦点を当てており、この3人

は「結婚はおろか恋人すらできる気配無し」という共通点を持っています。

 

3人で頻繁に居酒屋に集まり、アラサーでありながら「女子会」を開き、見たくない現

実から目を背けて酔いつぶれるまで飲み続ける日々を送っています。

東京の居酒屋に集まり、「あの時こうしていたら~」「ああしていれば~」という話ば

かり繰り返しているから、「東京タラレバ娘」なんだそうです。

 

 

・・・何をぼくは真面目に作品解説なんてしているんだ。こんなのウィキペディアに任

せればいいんだ。

この前単行本の9巻が発売され、物語は完結しました。

そういうわけで、早速感想いきます。

 

あ、ネタバレありです。ご注意ください。

 

 

 

 

 

率直に言うと「モヤッとしている部分もあるけど、おおむね満足」という感じです。

 

KEYと倫子がお互い自分の素直な気持ちを打ち明け、幸せなセックスを両想いであるこ

とを確認し合います。

倫子はKEYを幸せにしたいと願うが、KEYは今のタラレバばっかり言っている倫子とは

恋愛できないと言う。

だから倫子は変わろうと決意し、タラレバを卒業するという流れ。

その後は、今まで通り3人で居酒屋で集まることはあるけど(マミちゃんも加わったか

ら4人か)、回数は減ったし以前のようにタラレバをぐちゃぐちゃ言うことはなくなっ

たそうです。

 

倫子の思考回路としては、「これからはタラレバは極力言わないようにする。だけど、

タラレバばっかり言っていたことが決して悪いことではなく、居酒屋でタラレバ言って

いたからKEYにも出会えたんだし、香や小雪と楽しい時間を過ごせた。そして今の自分

がある。ありがとう、タラレバ。」という感じです。

 

ただ、倫子がKEYを幸せにするためになにか具体的に行動を起こしている描写はありま

せんでした。あくまで意識を変えただけみたいです。

また、香と小雪もフワッとしたままです。この二人についてはタラレバを卒業したか定

かではなく、それぞれの浮気相手に対してまだ未練があるような描写があります。

新しいお相手もまだ見つかっておらず、何も解決していないという印象です。

 

このように中途半端というか、モヤッとした部分は残っていますが、まあこれがベスト

に近い終わり方なんじゃないかなーと思ってます。けど、アマゾンのレビューでは賛否

が割れてましたね。中にはけっこう容赦ない批判もあります。

 

やっぱりこういう漫画の題材は終わらせ方が難しいんでしょうね。

 

反面、例えば「ナルト」のように主人公を小さいころから描き、ずっと火影になるとい

う夢を持っているという設定はわかりやすいですよね。彼は様々な経験を通して大きく

成長し、そして最後は夢を叶えて立派な火影になりました。

 

「ナルト」や「ワンピース」に代表されるような少年漫画のように、「主人公が夢を叶

える物語」というわかりやすい題材を扱うと、批判を挟む余地のない、誰もが納得でき

るラストを描きやすい。

 

しかし、東京タラレバ娘の「結婚できないイタいアラサー女」という設定は、インパク

トはあるけど終わらせ方が難しいと思う。

3人の主人公が、それぞれ素敵な相手を見つけて結婚したとしても、なんだかありきた

りというか、味気ない終わり方だ。かといってこれまで通り何も変わらずにタラレバ言

いながら酒を飲み続けるのは論外だし。

少年漫画のように、主人公達が成長して「タラレバ」を完全に卒業し、3人が友情を保

ちながらもそれぞれ自分らしい生き方を模索し、魅力的な女性に生まれ変わる決意をす

るというラストはどうだろう?

これもやっぱり出来過ぎているというか、あの漫画のノリに合わない気もする。という

か、それができるなら33歳までこじらせなかっただろうし。

 

こういうふうに色んなエンディング候補が考えられるが、どれだけ練ってもどんな終わ

らせ方をしても、人によっては不満が残ってしまう気がする。

 

君に届け」のような、もうラストがわかりきっていて、それを見守るような漫画でも

ないし、世界を救うお話でも主人公の成長物語でもない。

 

漫画に限らず映画でも小説でも、扱う題材や設定によっては終わらせ方が難しく、それ

ゆえに賛否が分かれてしまうんだろうなぁ、と思いました。

 

以上です。繰り返しますが、個人的には好きな終わり方です。

アマゾンのアフィリエイトリンク貼らないから、気になったら自分で買ってな。

 

 

P.S

君に届け」ってまだ完結してないんだね。いつになったら君に届くんや。