【血の轍】読んだ感想~傑作の予感しかしない~
移転しました。
とんでもない新作が現れました。
この血の轍という漫画、3ヶ月ほど前に第1巻が発売し、もうすぐ2巻が発売されます。まだ連載は始まったばかりですが、既に傑作の予感がしてます。
作者は、「惡の華」や「ぼくは麻理の中」、「ハピネス」などで有名な押見修三氏です。もう表紙から傑作の匂いがプンプンしますね。
あ、ネタバレはしないのでご安心を。
ジャンルはサスペンスに分類されるのかな?この漫画のキャッチコピーは「究極の独親」で、ホラー要素も入ってます。
物語は、一見ごく普通の3人家族(父、母、息子)の日常生活を淡々と描きながら進んでいきます。
朝起きてご飯を食べ、母(静子)は家事をこなし、父親は仕事に行き、中学生の息子(静一)は学校に行く。静一は学校で友達と他愛のない会話をしたり、好きな女の子をからかったりなど、何気ない日常が描かれています。ナレーションは一切ないため、読者に登場人物達を傍観しているような気持にさせます。
しかし、話が進むにつれて、何気ない日常に潜む闇が少しずつ明らかになってきます。
とにかく、この主人公のお母さん(むしろお母さんが主人公かな?)である静子が魅力的なんですよね。
静子は、実の息子である静一に対して、愛情を超えた異常な執着のようなものがあり、息子の為ならなんでもしてしまう狂気を持つ母親として描かれています。
普段から息子にベタベタと触り、あることをきっかけに「ママに抱きしめさせて」とねだることも。明らかに闇を抱えてますね。
この後ムフフな展開が待っています。・・・うそです。
また、息子に身の危険が起こることを極度に恐れており、親戚から過保護だとからかわれているといったシーンもあります。
息子に少しでも異変があれば、すぐさまそれを見抜く。
静一の方は、不気味ではあるが美しくもある母親に対して従順な態度で接しており、彼女のとある常軌を逸した行為を、見て見ぬふりをしたりしてしまいます。
静一は成績優秀な優等生という設定ですが、母親から自立できていないような描写がチラホラあります。まあその責任は母・静子にあるのかもしれませんが。
1巻の最後で、静子はとんでもなく恐ろしいことをしでかし、その現場を静一は目撃するのですが、結局母親の味方をしてしまいます。
最初は近親相姦の話かと思いましたが、最後まで読むとそんな感じではなさそうです。個人的には、静一は静子にとって「性」の対象ではなく、「依存」の対象のような気がします。まあまだ1巻しか発売されていないので、なんとも言えないんですが。。。
静子の過去には色々あるみたいで、彼女の正体や今後の展開が非常に楽しみです。
やっぱり押見さんは天才ですな~。
静子の狂気の描き方はもちろんのこと、登場人物一人一人の心情表現が非常に上手いんですよ。思わずゾッとすることもあるし、その登場人物が感じたであろう不快感だとか興奮、喜びや焦りが、そのまま読み手まで伝わってきます。
こんな風に心理描写できる漫画家がほかにいるだろうか?
久しぶりにドハマリした漫画です。超おすすめです。