何でもいいから爪痕を残したい

主に本や漫画のレビュー、あとは雑記です

【おすすめ漫画】花沢健吾作「ルサンチマン」という神漫画をご存じだろうか

移転しました。

花沢健吾といえば、映画化もされた「アイアムアヒーロー」で有名な漫画家だ。
こちらの記事で、「アイアムアヒーロー」の最終巻の感想を書いている

inugami09.hatenablog.com


今回紹介する「ルサンチマン」という漫画は、2004年からビッグコミックスで連載が始まり、わずか1年で完結した。けっこう古い漫画だが、今読んでもかなり面白い。
では、ネタバレなしで紹介していこう。

ルサンチマン 全4巻 完結セット (ビッグコミックス)

 

ルサンチマンとは「弱者による妬み、恨み」という意味で、これは主人公の設定に反映されている。

以下、大まかなストーリーをウィキべディアから引用する。

2015年の東京が舞台。坂本拓郎(通称たくろー)はウオト印刷という零細印刷所に勤める独身、デブ、ハゲ進行気味のさえない男、ボーナス後のソープが楽しみの素人童貞。30歳の誕生日に旧知の友人3人と飲んだ際に、自分以上にさえない男であるはずの越後大作に、女にもててしょうがない上に仕事まで辞めたという話を聞かされる。

しかしそれはいわゆるギャルゲーの世界であると聞き、いったんはたくろーは呆れる。
しかし飲み会の後、越後のアパートでやらせてもらった最新式のギャルゲーは、たくろーの想像を上回る高度なAIキャラクターとバーチャルリアリティプログラムにより構成された現実感(ある意味究極の非現実感)あふれるものだった。
完全な現実逃避とあきれつつ、うらやましく思ったたくろーは、ギャルゲーを楽しむためのパソコン一式を貯金をはたいて購入し、自分も仮想現実の世界を楽しもうとする。
仮想現実世界での恋人を作るにはその人格AIをプログラミングしたソフトを購入する必要がある。
たくろーはAIソフト売り場で偶然陳列棚の下に埋もれてい「TUKIKO(月子)」というソフトを購入する。
喜び勇んで月子との仮想現実での生活を楽しもうとするたくろー、しかしプレイをしていくうちにそのAIソフト「月子」は普通のAIソフトとは違うことに気づいていく。
明らかになっていく月子の正体、話の進展に伴い、仮想現実世界(アンリアル)は現実世界を巻き込んでいく。

 引用元 ウィキペディアhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AB%E3%82%B5%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%9E%E3%83%B3_(%E6%BC%AB%E7%94%BB)

 

こちらが「たくろー」。

f:id:inugami09:20171212183136p:plain

このような人間が「弱者」であるかはよくわからないが、本作品では「弱者」として位置づけられている。

この漫画の面白いところは、連載当初(2004年)はそれほど注目されていなかった
VR(仮想現実)技術を題材にしていることだ。
以下の画像のようにヘッドギアを頭に装着すると、仮想現実世界を体感することができる。

f:id:inugami09:20171212183157p:plain


さらに専用のグローブをはめることで、本物の女の子に触れたような感触を得ることできる。

f:id:inugami09:20171212183209p:plain


この設定を2004年の段階で思いつくとは・・・。当時この漫画を読んだ人にとっては衝撃だったと思う。

しかし、この漫画で描かれているような世界は、早ければあと3~4年で現実のものになるだろう。

既に、VRゴーグルを利用した「ギャルゲー」はいくつか発売されている。
このブログでは、画像を載せるとBANされるかもしれないので載せることはできない。
気になる人は、「VRカノジョ」や「VR アダルトゲーム」で検索しているといい。(18未満はだめだぞ!)

 

検索すると、いろいろと衝撃を受けると思う。むしろ、この漫画の内容よりも、すでにわれわれが生きる現実世界で、こんなゲームが開発されていることのほうがショックかもしれない。
ますますネット依存症の人間を作ることになるかもしれないと、心配する人もいるだろう。画像は載せないといいつつ、やっぱりちょっとだけ。

f:id:inugami09:20171212183306p:plain

まるで本物の女の子が目の前にいるような気分になれるとか。

 

 たくろーはギャルゲーにハマるが、一方の現実世界で、これまで
一度もモテなかったたくろーに彼女ができそうになる。

 

現実の女か、仮想現実の女かどちらをとるか迷うが、どちらも最後の最後でうまくいかない。非常にコミカルで、テンポの良く物語が展開していき、読んでいて楽しくて仕方がない。

f:id:inugami09:20171212183335p:plain

 

ただ、残念なことは、連載中に打ち切りが決まったらしく、途中から物語が急展開してしまうことである。
最終的には、仮想現実を乗っ取ろうとする者達と仮想現実を守ろうとする者達の戦争にまで発展する。

 

なんつー展開だ・・・。花沢氏の中には大きな構想があり、もっとじっくり時間をかけて描きたかったことだろう。
しかし、それを差し引いても十二分に面白い作品だ。

 

単純に読んでいても面白いし、本当にこんな世の中になったらどうしようと考えさせられる。まあ近い将来、似たような状況になるのは確実だと思うが。
昨中では女の子に触れたと錯覚できるグローブの他に、「セックススーツ」というものが登場する。このスーツを着用することで、手だけでなく、女の子の感触を全身で体感することができる。

f:id:inugami09:20171212183423p:plain

もうなんか、いろんな意味で怖いw


流石にこういう人間の身体に直に働きかける技術はまだまだ時間がかかりそうだけど、
間違いなくVR技術はアダルト業界に深く浸透していく。

色々と妄想を膨らませてくれる作品でもあるし、ラストはけっこうグッとくるものがあります。

人を選ぶ作品であることには間違いないが、僕はけっこう感動してしまった。

  

ルサンチマン 全4巻 完結セット (ビッグコミックス)
花沢 健吾
小学館
売り上げランキング: 62,415