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西野亮廣さんの「革命のファンファーレ 現代のお金と広告」を読んだ感想

移転しました。

革命のファンファーレ 現代のお金と広告

こんにちは。
いぬがみです。僕もこんなイケメンだったらいいんですけどね。

 

これまで僕は「ビジネス書」に対して良いイメージを持っていませんでした。
ビジネス書と言えば、難解で取っ付きにくいものであったり、逆に取っ付きやすいものは当たり前のことしか書かれていない内容の薄いものであったり。。。

 

しかし、この「革命のファンファーレ 現代のお金と広告」は違いました。

 

小難しいビジネス用語や専門用語を省くことで読みやすさにこだわっており、それでいてページをめくるたびに新しい発見や刺激があった。

 

単にこれまで良書に出会う機会がなかっただけかもしれないし、クラウドファンディングで1億円」とか、「絵本で34万部の売り上げ」というものすごい実績があるから、僕の中で彼を勝手に過大評価しているところもあるかもしれない。
でも、これらを差し引いても素晴らしいビジネス書だと思う。

 

以下、「西野さんの魅力」という形で、本書から学べることを紹介していきます。

 

西野さんの魅力① 柔軟過ぎる思考法

これは西野さんだけでなく、ビジネスで成功している人の共通点なのだが、彼らはとにかく頭が柔らかい。「継続は力なり」という言葉があるけど、成功のためには継続することは当たり前のことで、その上でさらに「柔軟性」が求められる。

 

本書を読む前までは西野さんの人柄についてはあまり知らなかったのだが、ここまで柔軟に考え方を変え続けられるものなかと驚いた。

 

よく言われていることだけど、IT技術の急速な進歩でこれまで常識が覆された。
だから、今の時代を生きる若者たちは、常に世の中の変化に合わせて自分の常識や価値観をアップデートし続けなければならない。現代で生き残るための必須条件だ。
そして、自分がどう生きるか、何をすべきかを考えて行動に移す必要がある。

 

例えば、西野さんは絵本の作り方を疑うことから始まったことだ。
彼は最初、「えんとつ町のプペル」を一人でボールペンを握って黙々と絵を描いていたらしいが、ふと、「なぜ絵本は一人で作るのだろう?」と疑問に思ったらしい。
その理由は単純で、絵本業界の市場規模は小さく、大きな売り上げを見込めないからだ。よって、スタッフを雇うことができずに一人で制作するしかない。

 

しかし、お金さえ集めてしまえば分業制も成り立つ。
そこで西野さんは、本当に心に作品を一人でも多くの人に届けるために、絵本制作に取り掛かる前に資金調達をすることになった。
結果、1億円集めることに成功し、約30名のスタッフを雇って「えんとつ町のプペル」という大作が完成した。
一昔前まではとても絵本の制作に1億円なんて考えられないが、ネットが普及した現代なら可能となっている。

 

本書では西野さんのこういった柔軟な発想術がバシバシ出てくる。

 

西野さんの魅力② タレント時代に既に「信用」を稼ぐことを実践

「お金は信用を数値化したもの」である。

 

この言葉は、確かホリエモンのラジオか何かで初めて聞いたのだが、西野さんも本書の至るところで使っていた。
僕もブログやネットビジネスを始め、最近になってようやく信用がお金に変わることを実感し始めたのだが、西野さんはタレント時代に既にこの事実に気付いていた。
彼はタレントとして信用を稼ぐために、まずは「嘘をつかない」こと徹底したらしい。

 

例えばグルメ番組に出演したら、マズい飯でも「美味い」と言って食べなければならない。しかし、ネットが普及した現代では誰もがコメンテーターになり得る。
芸人が「美味い」と言った店は本当に「美味い」かどうかは、スマホで口コミを検索すればすぐにわかる。
視聴者は、テレビを見ながら芸人が嘘を見破ることができるようになった。
それでも嘘を付き続けることで得られるものは「認知度」であり、「人気」ではない。
つまり、信用を稼ぐことができない。だから西野さんはグルメ番組のオファーは断っていたらしい。このことから、目先の利益や誘惑に流されることなく、先回りした思考ができることがわかる。

 

西野さんの魅力③ アンチすらも手懐ける

いつの時代も革新的な考え方ができる人は、常に世の中の批判を真っ向から受ける。
西野さんも例外ではなく、たくさんのアンチが湧いたらしい。
しかし、彼はアンチ達のコメントに感情的な反論は加えずに、積極的にシェアしたり徒党を組ませたりして炎上をさらに大きくして広告に利用した。

 

もちろん、こういったことができるのは、西野さんの言葉を借りれば「オセロの角を取っている状態」だからだ(この言い回しは個人的にすごく気に入った)。

 

彼は絵本制作の過程で何もやましいことも後ろめたいことはしていない。
どんなに叩かれても責められても「アラ」は出てくることはないため、うろたえることなく冷静に広告に利用している。どんなに真ん中を取られても、角はとっているから最後にはすべてひっくり返すことができる。

 

また、彼は出来上がった絵本をネットで無料公開したのだが、この行動についても批判を受けたらしい。「業界が疲弊する」「作品を無料で公開するとクリエイターにお金が入らなくなる」などなど。

この批判に対して西野さんは至極真っ当な反論をしているが、アンチの方々はおそらく納得していないかもしれない。
ただ、それは彼自身もわかっていることだし、それでいいと思っているだろう。前述の通り、アンチは大きな広告効果をもたらすのだから。

 

少し話は逸れるが、
2ちゃんねるの創設者であるひろゆきさんも「盛り上がるのは簡単には答えのない議論だ」と言っていた。
芸能人が麻薬に手を出しても、話題にはなるが大して盛り上がらない。明らかに「犯罪である」という答えが出ているからだ。

 

しかし、これが「不倫」というグレーゾーンの場合だと、ご存じの通り大盛り上がりで寿命も長い。
最近だと、「差別」というデリケートな問題に触れてしまった、「笑ってはいけない」の浜ちゃんの黒人メイクが盛り上がった。

 

やましいこと(不倫など)が発覚した場合は、だらだら罪滅ぼしをせず即座に謝罪のが最も良い。しかし「オセロの角を取っている状態」ならば堂々としてればいいし、むしろ宣伝に利用するくらいのあざとさがあってもいい。
それくらいのことをしないと、情報が溢れた現代において作品は簡単に売れない。

 

「良い作品を作れば勝手に売れる」という幻想は今すぐ捨てた方がいい。


この言葉は個人的にグサッときた。
恥ずかしながら、つい最近まで僕は「クリエイターは優れた作品を生み出すことにだけ全力を尽くしさえていればいい」という古い考えを持っていました。
業種や職種によって多少違うかもしれないが、少なくとも「個」で戦っていく場合、
「売り方をデザインする」という考え方は、今後非常に重要になっていく。

 

西野さんの魅力④ 努力の「量」と「質」、共に圧倒的

成功するためには闇雲に努力すればいいというわけではなく、自分が置かれている状況と時代の流れを正確に捉え、常に問題を洗い出し、改善策を考えては検証しながら、徐々に理想に近づけていく必要がある。

 

西野さんは資金調達や作品の広告の際、圧倒的な努力はもちろんのこと、常にこういったことを意識して下準備とリサーチを徹底し、カードの切り方を慎重に考えながら、適切な時期で手札を切っていった。
彼の広告戦略はあらゆるビジネスに応用できるので、気になる方はぜひ手に取って読んでいただきたい。

 

西野さんの魅力⑤ 良い意味でこだわりがない

西野さんは、「えんとつ町のプペル」という作品の著作権をあえてナアナアにしているという。どこぞの劇団がこの作品を勝手に上演しようと、クリアファイル化して売ろうとも、すべて黙認することにしているらしい。
AV業界では現在、「えんとつ町のプペル」をモジった「チン凸町のアナル」という企画が進んでいるらしいが、この話も歓迎している。(この一節を始めて読んだとき、一人で3分ほど腹を抱えて笑った。電車の中で読まなくて本当によかった)

 

著作権をナアナアにするのはもちろん理由があり、それは大きな宣伝効果があるからだ。絵本を書くことでお金持ちになることではなく、あくまで一人でも多くの人に知ってもらうことが目的だと西野さんは語る。

 

また、彼の夢は「ディズニーを倒すこと」らしい。
相手はあまりに強大で、一日24時間の労働時間ではとても太刀打ちできない。
だから、他人の時間も使う。著作権を放棄することで自分の知らないところで勝手に作品が宣伝され、自分が働いていなくてもどんどん影響力を広めることが出来る。

これは誰にでも出来そうでいて、実はなかなか難しいことだと思う。
クリエイターの多くは、自分が生み出した作品を自分の子供のように愛する人が多い。
その作品が間違った伝わり方をしてしまったり、バカにしているのか真剣なのかよくわからないAV作品に使用されて喜ぶ人はそう多くない。

 

柔軟というより、いい意味でこだわりや執着がない西野さんだからこそできることかもしれない。

 

西野さんの魅力⑥ 優れたアイディアが湯水の如く湧き出る

本書を読んでいてとにかく驚いたのが、西野さんがあきれるくらい次から次へと素晴らしいアイディアを考え付き、すぐに実行に移していることだ。
彼を「天才」という一言で片づけることもできるかもしれないが、やはりさっきから述べているように彼自身の「適応力」の賜だろう。

 

新しい技術、情報、知識を積極的に受け入れているからこそ、いつでも新鮮で時に斬新な発想ができる。本書を読むと、自分も臆することなく積極的に未知のものに触れたり、世界に打って出ようという勇気がもらえる。

 

最後に

全体を通して西野さんをベタ褒めしているだけのようになってしまったが、それほど素晴らしい本だと思っている。ビジネス書としてはもちろんのこと、自己啓発書としても読むことが出来る。
ビジネスヒントだけでなく、本書から得られ物は大きい。
やりたいことが見つからない、見つかっているけど一歩が踏み出せない人はぜひ読んでみてほしい。

 

きっと勇気がもらえるから

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西野 亮廣
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P.S

こうして僕は西野さんの著作「革命のファンファーレ」と、彼の絵本作品である「えんとつ町のプペル」の広告にほんのわずかであるが貢献した。
西野さん、あなたがこの記事を奇跡的に発見することができたら、あの、お礼と言っては大変おこがましいですが、この記事をシェアしていただけるとものすごーーーーくうれしいです(揉み手)