【アイアムアヒーロー】最終巻を読んだ感想(※ネタバレあり)
移転しました。
どーもー。
漫画ブログ界のヒーローの座を狙っている、いぬがみです。
花沢健吾氏の「アイアムアヒーロー」の単行本22巻が2017年3月31日にが発売され、この巻で物語は完結しました!
長かったような短かったような。
最終巻を読んで、言いたいことや突っ込みたいことが山ほどあるので、勢いで記事にしました。
タイトル通りがっつりネタバレもしていくので、嫌な人はブラウザバック推奨。
じゃ、早速いくぜ!
◆まずはあらすじから
この漫画は一言でいえば「パニックホラー」だ。
ある日突然、ゾンビみたいなやつ(作中では「ZQN」と呼ばれている)が突然うじゃうじゃ出てきて、そいつらから逃げたり戦ったりしながら、なんとか生き延びようとするお話。
ZQNに噛まれた人は感染してZQN化し、同じように人を襲うようになってしまう。グロいシーンが多く、感染の恐怖と戦う緊張感と謎が謎を呼ぶストーリー展開で話題になった。実写映画化もされ、大人気漫画といえる。
上のおっさんが主人公で、名前は鈴木英雄。
35歳の漫画家アシスタントで、妄想癖が激しく、独り言も多い。漫画家アシスタントとして生計をたてながらプロを目指しているが、なかなかデビューできずにうだつの上がらない日々を送っていた(あれ、なんだろう。今僕の心にすごくグサッときた)。
そんな日常を送る中、突如「ZQN」と呼ばれるゾンビみたいなのが現れ、英雄はパニックに巻き込まれていく・・・みたいな感じです。
まあ今このページを開いている人はたぶん本作を全巻読み終わったか、途中までは読んでいる人がほとんどだと思うから、あらすじはこの辺にしておいて早速感想に移る。
◆率直な感想は、「すっきりしない終わり方」
不完全燃焼な終わり方です。
アマゾンの評価も星一つばっかだし、それに対して擁護のしようがない・・・。
まあね・・・。22巻で「完結」って聞いた時から嫌な予感はしていた。
だって21巻の段階であと3巻くらいはかかる感じでしたから。あ、これは無理矢理終わらせにきてるなと思ったら、その通りでした。
嫌な予感ほど当たっちまうもんだ・・・!!
なにがひどいって、伏線が何一つ回収されておらず、打ち切りのような形で物語が終わっていること。あっちこっち風呂敷広げ過ぎて、もう作者自身でもどうにもならずに強引に物語を終わらせるという、よくあるといえばよくある失敗例です。
なんでこんなに叩かれているかというと、本当に何一つ謎が解明されてないからだと思います。物語の核心である「ZQN」の正体や目的すらも結局わからないまま。他にもたくさんの思わせぶりな伏線があったが、それら全て未回収で宙ぶらりんのままです。
これなら叩かれるのも仕方がないかもしれない。
なんなんすかね。もう考えるとめんどくさくなっちゃって、ZQNも何もかも「意味なんてない」で強硬突破してるようにすら思えてくる・・・。
↑「ムカツク奴を殺すだけだ」って・・・。あんた「お前も狂巣か」みたいなめっちゃ思わせぶりなこと言ってたやん。
なんか他にも意味ありげなシーンもたくさんあったじゃん!
あと、もう一人のクルスは今回のパニックを予想してたみたいな描写もあったし。
そういった設定はどこに行った?
作者がいかに投げやりになっているかがわかると思う。
百歩譲ってクルスやほかの様々な伏線が回収されないのは許すとしても、せめてZQNの正体くらいははっきりさせてほしかった。
伏線が回収されずに終わった漫画といえば、他には「GANTS」がある。こちらも多くの謎を残したまま完結したけど、肝心の「GANTS」の正体と目的ははっきりと明かされた。そしてなんだかんだで感動的なラストで幕を閉じた。読後感はかなり良かったことを記憶している。
しかし「アイアムアヒーロー」は物語の核心すらもわからないままだ。
安易だけど、「米国の陰謀だった」でもなんでもいいから、ここだけははっきりさせてほしかった。
◆結局、比呂美ってなんだったん?
また、本作のヒロインではずである比呂美の存在意義もよくわからない。
このキャラクターもいろいろと思わせぶりな描写が多かったが、最後はどうなったかすらもわからない。ZQNの集合体に取り込まれたから、たぶん概念的な存在になったかもしれないけど。
なんなら「おばちゃん」のほうがちゃんと「ヒロイン」を演じていた。
活躍シーンも多かったし、身を挺して弱いものを庇う優しさと強さを兼ね備えていた。そして最後は謎の若返りを遂げ、以外にも美人だったことが判明する。若返った後も相変わらず男勝りでたくましく生きている姿が描かれている。
強さ、優しさ、たくましさ、そして美しさ。ヒロインに必要なすべての条件を満たしている。
本作ではまさに圧倒的ヒロイン!
↑真のヒロイン「おばちゃん」
・・・・。
ごめん、これは半分冗談です。
聞き流してくれ。
ちなみに若返った理由は不明。最終巻でも新たな謎を発生させましたね、この作者は。ええ加減にせえよ?
ZQNの正体も明らかにしないで、なんでわざわざ謎を増やしてんねん。
この若返り以外にも、わざわざ最終巻で発生させた謎はたくさんあります。
なんなんでしょうね・・・。
もう好きに妄想してくれって感じで開き直っている気がします。鈴木英雄がそうしているように。
◆色々文句言ったけど、なんだかんだで読後感は悪くない
中田さんやおばちゃん、瀬戸君などの生き残りは、苫米地さんが操縦するヘリでビルを脱出し、どこか遠くの孤島(?)でひっそりと暮らすことになりました。
子供がたくさんいる描写もあるので、ここから少しずつ人類が復活していくのかもしれません。
中田さんと英雄は結局、再会を果たせませんでした。
一方、英雄はZQNに取り込まれそうになるものの、なぜか生きています。脱出した描写はなく、どうやってあの取り込まれた状態から抜け出しのかは謎のままです。
相変わらずの謎の多さよ。
比呂美が助けてくれたんでしょうか。
英雄はなんとか生き延びます。
しかし、中田さんたちとは違って誰もいない大都会でたった一人の生活が始まります。これまで以上の孤独と絶望が彼を襲い、その苦しみを紛らわすように妄想や虚言を繰り返すようになります。
初期の英雄よりもさらに悪い状態になってしまい、直視するのが辛い・・・。
例によって、独り言をぶつぶつ呟く英雄。
しかし、このまま完全にダメになるかと思いきや、なんとか持ち直します。
最初の頃は、食料はインスタント食品や缶詰に頼っていたが、やがて農業をしたり銃弾を作って動物を狩るようになります。
そして、辛い現実を正面から受け止め、それでも生きていく決意を固めるシーンで幕を閉じています。
↑ストレスと栄養不足で禿げてしまった英雄。
↑最後は立ち直り、現実と正面から向き合って一歩を踏み出す。
まあ謎はたくさん残したままだけど、最終的に英雄はちゃんと現実を見るようになったし、主人公らしく大きく成長できたので、読後感はそんなに悪くありません。
比呂美を救い出して英雄はヒーローとなり、二人は結婚して幸せに暮らすというエンディングでは、あまりにベタ過ぎるのでこういう方針にしたのでしょうか。
誰もがそう簡単に「ヒーロー」になれるわけではない。そういった意味も込められているのかも知れません。
いや、深読みしすぎかな。
感想は以上です。1巻からずっと読み続けており、連載中は次の巻が発売されるまでが楽しみで仕方ないほど大好きな漫画でした。
スッキリしない部分も多いですが、読んでいて非常に楽しめる作品であることは間違いないです。
また、以下の記事で僕のおすすめ漫画を紹介しています。
本当に面白かった漫画のみを厳選しているので、自信を持っておすすめできるものばかりです。
きっと、読みたいと思える漫画に出会えるはず。